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大徳寺(だいとくじ)に行かれたことがありますか?大徳寺は臨済宗(りんざいしゅう)のお寺で、20を超える塔頭(たっちゅう)寺院がある大きなお寺です。いつでも参拝できる4つの塔頭寺院を踏まえ、その魅力を紹介します。ぜひ参考にしてください。
大徳寺の歴史や見どころをご紹介
大徳寺(だいとくじ)は臨済宗(りんざいしゅう)大徳寺派(だいとくじは)という集団の大本山(だいほんざん)です。まずは大徳寺について歴史や見どころから紹介します。
大徳寺の歴史
大徳寺は、宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)というお坊さんが、紫野(むらさきの)という地に小さな建物をたて、「大徳」と名付けたのが始まりです。
1315年(鎌倉時代)からの歴史があるお寺と伝わっています。後醍醐天皇(ごだいごてんのう)<在位:1318年~1339年>から「本朝無双の禅苑(ほんちょうむそうのぜんえん)」という評価を受け、五山(ござん)の上に格付けされました。
五山というのは室町時代に始まった格付け制度のことで、カンタンにいうとお寺のランキングです。
京都五山(※1386年時点) | |
別格上位 | 南禅寺(なんぜんじ) |
1位 | 天龍寺(てんりゅうじ) |
2位 | 相国寺(しょうこくじ) |
3位 | 建仁寺(けんにんじ) |
4位 | 東福寺(とうふくじ) |
5位 | 万寿寺(まんじゅじ) |
※本来は足利氏の政治的な事情による格付け
この表に大徳寺が入っていないのには理由があります。大徳寺は五山の上に格付けされ、おおいに栄えたのですが、対立する夢窓疎石(むそうそせき)というお坊さんを拠(よ)り所とした足利尊氏(あしかがたかうじ)が権力をにぎると、大徳寺は一気に衰えました。
格付けも五山の下の十刹(じっさつ)に落とされ、自(みずか)ら五山を離脱しています。
室町時代の大戦である「応仁の乱(おうにんのらん)」で炎上した大徳寺ですが、一休さんの愛称で知られる「一休禅師(いきゅうぜんじ)」が住職となり、堺の商人の協力を得て復興に力を注ぎました。
豊臣秀吉により織田信長の葬儀が行われたり、千利休(せんのりきゅう)とのかかわりが深いなど、歴史上の人物とゆかりがあるお寺です。
大徳寺の見どころ(境内)
大徳寺は見どころが多いお寺です。数ある見どころのうち、大徳寺境内の見どころと、塔頭寺院の見どころを紹介いたします。まずは大徳寺境内の見どころとして三門を解説します。
千利休の切腹の原因となった三門
大徳寺境内で見ていただきたいのが三門(さんもん)です。通称で金毛閣(きんもうかく)と呼ばれる三門は、茶人である千利休(せんのりきゅう)切腹の原因となった門です。
三門が完成した際、大徳寺の古渓宗陳(こけいそうちん)というお坊さんが、千利休の援助に感謝を込めて、利休の像を三門の上に祀(まつ)りました。
これに対して、「高貴な人が通る三門に、草履をはいた利休の木造をおくことは、高貴な人の頭を踏みつけるのと同じだ」と激怒し、千利休は切腹させられたという説があります。
本当にこのような理由で切腹させられたのかは分かりませんが、いずれにせよ歴史的背景がある三門です。
大徳寺の見どころ(塔頭寺院)
大徳寺には20を超える多くの塔頭があります。ここでは数ある塔頭の中から、いつでも拝観できる塔頭を紹介します。
枯山水庭園はが見事な大仙院
大仙院(だいせんいん)は、大根のぬか漬けで「沢庵漬け(たくあんづけ)」の考案者といわれている「沢庵和尚(たくあんおしょう)」が住職を勤めたことで知られています。
必見なのは庭園です。大仙院書院庭園(だいせんいんしょいんていえん)と大仙院庭園(だいせんいんていえん)は、いずれも見ごたえのある枯山水庭園(かれさんすいていえん)で、険しい山から大きな海までを岩や砂で表現しています。
剣の達人として知られる宮本武蔵が沢庵和尚を訪ねてきたり、豊臣秀吉、千利休など名だたる人物が参拝したことのあるお寺です。
参道が美しい高桐院
高桐院(こうとういん)は、細川藤孝(ほそかわふじたか)という戦国大名を弔(とむら)うお寺です。苔(こけ)が茂(しげ)った美しい参道や、客殿(きゃくでん)という建物前のお庭が見事です。
そのお庭には灯籠(とうろう)がポツンと立ち、シンプルであるもののずっとその場にいたくなるお庭です。境内には細川家のお墓や、細川藤孝(ほそかわふじたか)に嫁いだ細川ガラシャ(明智光秀の娘)のお墓があります。
キリシタン大名ゆかりの瑞峯院
瑞峯院(ずいほういん)は、キリスト教を信仰した大友宗麟(おおともそうりん)という大名を弔(とむら)うお寺です。
見どころは重森三玲(しげもりみれい)という歴史的作庭家(さくていか)がつくった独坐庭(どくざてい)で、不老不死の仙人が住むと伝わる「蓬莱山(ほうらいさん)」から水が流れ、大きな海になる姿を表現しています。砂で波のうねりを表現した見事な庭園です。
大徳寺中で最も古い龍源院
龍源院(りょうげんいん)は、大徳寺中で最も古い塔頭です。こちらも庭園が見どころで、複数の枯山水庭園があります。
ものすごく狭いスペースにつくられた東滴壺(とうてきこ)や滹沱底(こだてい)、苔(こけ)で大きな海を表現した龍吟庭(りょうぎんてい)、ダイナミックな一枝坦(いっしだん)など、さまざまな庭園を楽しめます。
また、豊臣秀吉と徳川家康が対局したといわれる碁盤(ごばん)など、見どころの多いお寺です。
大徳寺のお役立ち情報
大徳寺のお役立ち情報として以下内容を紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 一休さんが伝えた大徳寺納豆
- 大徳寺は茶面と呼ばれる
- 大徳寺の御朱印
一休さんが伝えた大徳寺納豆
大徳寺と関わり深い一休禅師(いっきゅうぜんじ)が伝えたとされるのが「大徳寺納豆(だいとくじなっとう)」です。
大徳寺納豆は一般的に知られる納豆とは異なり、とても塩辛い乾燥した納豆で、お茶漬けやお酒のつまみ、調味料としての相性が良い納豆です。
一休さんのお寺として知られる、京田辺市の「酬恩庵一休寺(しゅうおんあんいっきゅうじ)」にも、一休寺納豆(いっきゅうじなっとう)があり、好きな人にはたまらない味を後世に伝え続けています。
【関連記事】酬恩庵一休寺は有名なあの方の寺【京都の寺社100選】(京都市外)
大徳寺は茶面と呼ばれる
お寺の特徴を言い表したものとして、「〇〇面(づら)」という呼び方があります。たとえば、建仁寺(けんにんじ)は詩や文芸などが得意なお坊さんを生み出し、「五山文学(ござんぶんがく)」という文芸を作り出したので「建仁寺の学問面(がくもんづら)」といいます。南禅寺は武家の信者が多くて繁栄したため、「南禅寺の武家面(ぶけづら)」といわれました。
このような呼び方の中で、大徳寺(だいとくじ)は茶の湯文化と縁が深く、ほとんどの塔頭に茶室があるため「大徳寺の茶面(ちゃづら)」と呼ばれています。これらの言い表しは以下にまとめます。
「〇〇面(づら)」 | |
大徳寺の茶面(ちゃづら) | 茶の湯文化と縁が深い |
南禅寺の武家面(ぶけづら) | 武家の信者が多くて繁栄した |
相国寺(しょうこくじ)の声明面(しょうみょうづら) | お経などが美しい |
建仁寺の学問面(がくもんづら) | 詩や文芸などが得意なお坊さんを輩出 |
東福寺(とうふくじ)の伽藍面(がらんづら) | お寺の建物が立派。25の塔頭(たっちゅう)を有する |
妙心寺(みょうしんじ)の算盤面(そろばんづら) | 組織運営が得意 |
大徳寺の御朱印
大徳寺の御朱印は、塔頭寺院の御朱印も含め、数多くの種類があります。具体的には以下のとおりで、各300円でいただけます。ただし、黄梅院の御朱印は1,000円です。
御朱印 | もらえる場所 |
本朝無双禅苑 | 大徳寺宗務本庁(そうむほんちょう) |
拈華殿 | 大仙院 |
真珠菴 | 真珠菴 |
釈迦如来 | 聚光院 |
大園殿 | 龍源院 |
高桐院 | 高桐院 |
施無畏 | 総見院 |
真珠庵 | 真珠庵 |
釈迦牟尼仏 | 興臨院 |
黄梅院御詠歌の御朱印 | 黄梅院 |
独坐大雄峰 | 瑞峯院 |
楼閣山水 | 芳春院 |
釈迦如来 | 聚光院 |
玉林院 | 玉林院 |
拝観に関しては先述のとおり、大仙院(だいせんいん)、高桐院(こうとういん)、瑞峯院(ずいほういん)、龍源院(りょうげんいん)の4ケ寺だけがいつでも拝観できる塔頭ですので気を付けましょう。
オリジナル御朱印帳は、大仙院をはじめ一部塔頭寺院で取扱いされています。
大徳寺の参拝情報
大徳寺の参拝情報として以下内容を紹介します。ぜひお出かけ前にチェックしておきましょう。
- 大徳寺の拝観料や参拝時間
- 大徳寺の交通アクセス
- 大徳寺の駐車場情報
- 大徳寺の地図
大徳寺の拝観料や参拝時間
大徳寺は境内自由散策です。いつでも拝観可能な4つの塔頭寺院の拝観料と拝観時間は以下のとおりです。
塔頭寺院 | 拝観料 | 拝観時間 |
大仙院 | 大人400円、小中学生270円 | 9時~17時(12月~2月は16時半まで) |
高桐院 | 大人500円、中学生300円 | 9時~16時半 |
瑞峯院 | 大人400円、小人300円 | 9時~17時 |
龍源院 | 大人350円、高校生250円、小中学生200円 | 9時~16時20分 |
大徳寺の交通アクセス
大徳寺への交通アクセスは、市バス「大徳寺前(だいとくじまえ)」バス停から徒歩すぐです。電車を利用する場合は、地下鉄「北大路(きたおおじ)駅」から徒歩約15分です。
大徳寺の駐車場情報
大徳寺には50台ほどとめられる専用の有料駐車場があります。そのためマイカーでの参拝も便利です。
大徳寺の地図
大徳寺の住所は「〒603-8231 京都市北区紫野大徳寺町53」です。地図を以下にて掲載しますので、参拝時の参考としてください。
まとめ
大徳寺は多くの塔頭寺院がある歴史深いお寺です。茶面(ちゃづら)と言われるほどお茶との関わりが深く、多くの塔頭寺院に茶室を備えています。そして各塔頭がそれぞれ見どころのあるお寺で、特に庭園の素晴らしさは表現しがたいほどです。ぜひ大徳寺を参拝していただき、塔頭も一緒に巡ってください。
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