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京都の鬼門を封じる猿たち!寺社による防衛ラインをご存知ですか?

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

京都御所の北東に、猿がいるのをご存知ですか?実は木像の猿が縁起の悪い方角を封じてくれています。また、御所北東にある各寺社にも猿がまつられており、何重にも防衛してくれています。この記事で詳しく解説しますので、参考にしてください。

京都は猿が守っているってホント?

京都御所は猿が守っているってホント?
京都御所の猿ヶ辻(さるがつじ)
観光客のAさん
観光客のAさん
京都を猿が守っているというのはどういうことですか?
北東の方角に木でできた猿がいて、御所を守ってくれています。
お坊さん
お坊さん

 

京都御所(ごしょ)は、北東の方角に「猿ヶ辻(さるがつじ)」という場所があり、縁起(えんぎ)の悪い方角への工夫が凝(こ)らされています。猿が辻や、京都を守る猿について詳しく解説いたします。

  • 北東の方角は鬼門
  • 京都御所北東で猿が鬼門を封じている
  • 桃太郎は鬼退治に猿を連れて行った

 

北東の方角は鬼門

北東の方角は「艮(うしとら)」の方角で、「鬼門(きもん)」と呼ばれています。分かりやすくご理解いただくために、時計を想像してみてください。

時計で方角を表現すると、12時が北、3時が東、6時が南、9時が西となります。

その方角を十二支(じゅうにし)で表すと、12時が子(ね)、3時が卯(う)、6時が午(うま)、9時が酉(とり)となり、「艮(うしとら)」は「丑(うし)と寅(とら)」の間の事なので、北東となります。

北東の方角は鬼門

鬼門である艮(うしとら)の方角は、文字通り邪悪な鬼が出入りする方角であるため、縁起が悪い、不吉だと嫌がられています。

ちなみに、現代に伝わる日本の鬼が、ウシの角(つの)を付け、トラのパンツを履いているのは、丑寅(うしとら)の方角だからという説があります。

 

京都御所北東で猿が鬼門を封じている

猿ヶ辻の猿
猿ヶ辻の猿

京都御所は鬼門よけのために、北東の角部分だけがヘコんでいます。これは、「角(かど)を取る=鬼の角(つの)を取る」という、鬼門を封じる方法です。

また、ヘコんでいる場所を見上げると、金網の中に木像の猿がまつられています。猿は「魔が去る・難が去る」に通じ、縁起が良いとされているため、鬼門封じとしてまつられているのです。

猿がまつられていることからこの場所を「猿ヶ辻(さるがつじ)」といい、夜になるとイタズラをするため金網をはって閉じ込めているとのことです。

 

桃太郎は鬼退治に猿を連れて行った

猿が鬼門封じになるのは「魔が去る」ということだけではありません。鬼門の反対側の方角にいる動物は鬼門に強いという考察もあります。

滝沢馬琴(たきざわばきん)<江戸時代後期の、読本(よみほん)といわれる小説の作者>によると、丑(うし)<1時>・寅(とら)<2時>の反対にいるのが、申(さる)<9時>・酉(とり)<10時>・戌(いぬ)<11時>なので、猿・鳥・犬の3匹が桃太郎のお供になったとのことです。

ただ、厳密に考えると1時の反対は8時=未(ひつじ)なので、桃太郎が羊(ひつじ)を連れて行かなかった点には疑問が残る説ではあります。

 

寺社による鉄壁の京都防衛ライン

寺社による鉄壁の京都防衛ライン

お坊さん
お坊さん
御所の北東には猿がまつられる寺社が多くあるようですね。
はい、鉄壁の防衛ラインとなっていますよ。
神主さん
神主さん

猿が鬼門を封じているのは「猿が辻」だけではありません。御所北東には猿をまつる寺社がたくさんあり、複数の寺社によって京の都を防衛してきたのです。御所北東で猿をまつる寺社として、以下を紹介します。

  • 幸神社の猿
  • 赤山禅院の猿
  • 日吉大社の猿

 

幸神社の猿

京阪「出町柳駅(でまちやなぎえき)」から徒歩10分ほどのところに、「幸神社(さいのかみのやしろ)」という神社があり、京都御所の北東に位置します。

幸神社は、猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)と天鈿女命(あめのうずめのみこと)という夫婦神をまつる神社で、縁結びの神社として知られています。

本殿(ほんでん)本殿正面から右に回ると「ここにおさるがいます」と書かれた絵馬があり、見上げると猿の神像がまつられています。

一説によると、江戸時代の伝説的職人「左甚五郎(ひだりじんごろう)」が彫ったと伝わる木彫りの猿で、生き生きとした中に有りがたさを感じさせてくれます。

 

赤山禅院の猿

赤山禅院の猿
赤山禅院の猿

幸神社よりもさらに5kmほど北東には、赤山禅院(せきざんぜんいん)というお寺があります。赤山禅院は天台宗のお寺で、比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)の塔頭(たっちゅう)の1つです。

1100年以上の長い歴史を重ねている赤山禅院は、方向による災いを防ぐ「方除け(ほうよけ)」のお寺として信仰を集めており、入ってすぐ見える拝殿(はいでん)の屋根には、鬼門除け(きもんよけ)の猿の像がまつられています。

夜になると暴れだすという伝説があり、猿が辻と同様に金網の中に入れられています。紅葉の穴場として知られる赤山禅院ですが猿の像も必見ですので、参拝時にはぜひチェックしてください。

【関連記事】赤山禅院は鬼門除けの猿が有名!【京都の寺社100選】(左京区)

 

日吉大社の猿

本物の猿が飼われている神猿舎(まさるしゃ)
本物の猿が飼われている神猿舎(まさるしゃ)

赤山禅院よりもさらに北東には、天台宗(てんだいしゅう)という宗派の総本山(そうほんざん)である、比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)があります。

その比叡山と天台宗の守護神が、滋賀県大津市(おおつし)にある日吉大社(ひよしたいしゃ)です。日吉大社も京都の北東にあるため、鬼門除けの神社として信仰を集めています。

日吉大社では本物の猿が飼われているほか、境内各所に猿にまつわるスポットがあり、古来より「日吉といえば猿」といわれている神社です。

【外部リンク】日吉大社

 

まとめ

京都御所の北東角には、鬼門封じの猿がおり、さらに北東の方角には猿をまつる寺社が複数存在します。鬼に強いとされる猿だからこそ、桃太郎が連れて行ったのかも知れません。もしご興味があれば、それぞれの寺社を順番に巡ってみてください。たくさんの猿たちに会うことができますよ。

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