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京都で七不思議といえばどこを思い浮かべますか?この記事では七不思議を持っているお寺や神社と、それぞれの具体的内容を紹介します。知っていると京都観光がより一層楽しくなりますので、ぜひ参考としてください。
北野天満宮の七不思議
京都市上京区の北野天満宮(きたのてんまんぐう)は、菅原道真(すがわらのみちざね)を天神(てんじん)さまとして祀(まつ)っています。
菅原道真は平安時代の貴族であり政治家および学者で、右大臣(うだいじん)という高い地位にまで上り詰めた人です。
そんな北野天満宮には、古くから伝わる7つの不思議があります。これらを探しながら参拝すると、楽しく有意義な時間が過ごせるでしょう。それぞれの内容について紹介します。
1.影向松(ようごうのまつ)
北野天満宮の正面入り口にある大鳥居(おおとりい)右側に、1本の大きな松が立っています。この松は影向松(ようごうのまつ)と呼ばれている松で、北野天満宮ができた時から存在するそうです。
季節の節目で立冬(りっとう)から立春(りっしゅん)の前日までに初雪が降ると、天神さまがこの松に現れて、雪見をしながら詩をよむという伝説があります。
2.筋違いの本殿(すじちがいのほんでん)
通常の神社とは違って、参道の正面に本殿(ほんでん)がありません。参道の正面には地主神社が建てられています。
もともとこの地には地主神社があり、のちに菅原道真を祀(まつ)る社殿が建てられたため、本殿は地主社の正面を避けて建てらています。
3.星欠けの三光門(ほしかけのさんこうもん)
北野天満宮の本殿前にある「三光門(さんこうもん)」は、日・月・星の彫刻に由来していますが、星は実物の北極星(ほっきょくせい)のことで、実際には彫刻されていないという説があります。そのことから「星欠けの三光門」と呼ばれています。
平安時代当時の御所(ごしょ)の場所から、天皇が北野天満宮に向かってお祈りすると、丁度三光門の上に北極星があると伝わっています。
4.大黒天の燈籠(だいこくてんのとうろう)
三光門の東南に、大黒さまの像が特徴的な石灯籠(いしどうろう)があります。この大黒さまの口に小石を入れて落ちなかった場合、その小石を財布に入れることで、お金に困らないといわれています。
また、「落ちない」ことから受験生にも人気です。
5.唯一の立ち牛(ゆいいつのたちうし)
北野天満宮には多くの牛の像がありますが、拝殿(はいでん)の彫刻だけ牛が立った姿をしています。
6.裏の社(うらのやしろ)
神社は前から拝むのが一般的ですが、北野天満宮の本殿は、背面にも拝む場所があります。そこには、道真のご先祖様の天穂日命(あめのほのみこと)、祖父の菅原清公(すがわらのきよきみ)、父の菅原是善(すがわらのこれよし)が祀(まつ)られています。
7.天狗山(てんぐやま)
北野天満宮の北西角に、天狗山とよばれる小さな山があります。室町時代に描かれた「社頭古絵図(しゃとうこえず)」には、個性的な烏天狗(からすてんぐ)が登場し、もしかすると大昔には天狗が現れたのかも知れないと想像させてくれる場所です。
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清水寺の七不思議
京都市東山区の清水寺(きよみずでら)は、京都でも指折りの人気観光スポットで、常に多くの人で賑(にぎ)わいます。そんな清水寺にも七不思議がありますので、それぞれの内容をご覧ください。
1.仁王門(におうもん)前の狛犬(こまいぬ)
狛犬(こまいぬ)とは、神社やお寺の前に置かれる、獅子(しし)に似た獣(けもの)の像のことです。一般的には大きく口を開けている狛犬と、しっかり口を閉じている狛犬の二匹で1対となります。しかし、清水寺の狛犬は、両方とも大きく口を開けています。
実は、口を開けた狛犬と、口を閉じた狛犬の一対でなければならないというルールはありません。いずれにせよ、両方口を空けている珍しい狛犬です。
ちなみにですが、奈良の東大寺(とうだいじ)南大門(なんだいもん)北側の狛犬も、両方口を開けています。
2.仁王門のカンカン貫(ぬき)
仁王門右側の端(はし)っこに、大きな窪(くぼ)みがあります。これは門をくぐった裏側にもあり、片方に耳をあて、もう片方を他の人がカンカンと爪で叩くと、まるで電話のように音が聞こえます。
3.六本柱の鐘楼(しょうろう)
鐘楼(しょうろう)は、お寺でゴーンとつくの鐘(かね)のことです。鐘楼は4本の柱で支えることが一般的ですが、清水寺の鐘楼は6本の柱が使われています。
言われないと気付かないことかも知れませんが、実は珍しいことなのです。
4.三重塔(さんじゅうのとう)の鬼瓦(おにがわら)
清水寺の三重塔(さんじゅうのとう)は高さ約31メートルあり、国内最大級の三重塔として知られています。塔の四隅には「鬼瓦(おにがわら)」があることが一般的ですが、清水寺の三重塔は、東南の角だけ「龍」となっています。
龍は水神であることから火除(よ)けの意味があり、防火の意味が込められているとされています。
5.虎(とら)の図の石灯籠
西門に通じる階段脇に、「虎の図」が刻まれた石灯籠があります。江戸時代後期に虎を得意とする絵師「岸駒(がんく)」が作ったもので、どこから見ても虎と目が合う「八方睨(はっぽうにらみ)みの虎」となっています。
この虎には毎晩灯籠から抜け出して、池の水を飲みに行くという伝説が残っています。
6.弁慶の足跡
朝倉堂(あさくらどう)というお堂の前には、一尺七寸(約50cm)の足型が刻まれた石が存在します。この足型は有名な弁慶(べんけい)のものという説や、平家の武将である平景清(たいらのかげきよ)のものという説があります。
実のところは仏足石(ぶっそくせき)といって、お釈迦様の足型であり、仏足石をなでた手で足腰の痛いところをさすれば、治療効果があるといわれています。
7.清水の舞台(きよみずのぶたい)
清水寺最大の不思議は、有名な清水の舞台です。高さ13メートルの清水の舞台は、「舞台造」や「懸造(かけづくり)」と呼ばれ、釘を使っていません。一度んだら外れにくい「地獄組」と呼ばれる構造で、48本の柱で支えられています。
かつて、清水の舞台から飛び降りて助かった場合は願いごとが叶い、助からなくても極楽浄土(ごくらくじょうど)に行けるといわれていました。
そんな清水の舞台は、いつ何のために建てられたのか正確な記録がなく、さまざまな説や謎が残っています。
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知恩院の七不思議
京都市東山区にある知恩院(ちおんいん)にも、古くから伝わる「七不思議」があります。知恩院の有名な七不思議を、以下にてカンタンに紹介します。
1.鴬張りの廊下(うぐいすばりのろうか)
御影堂(みえいどう)という建物から集会堂(しゅうかいどう)、大方丈(だいほうじょう)、小方丈(しょうほうじょう)までの、全長550メートルの廊下(ろうか)は、歩くと鶯(うぐいす)の鳴き声のような音が出ます。
このことから鴬張りの廊下(うぐいすばりのろうか)といいます。
2.白木の棺(しらきのひつぎ)
三門(さんもん)の上部に安置された棺(ひつぎ)には、三門を作るように命令された五味金右衛門(ごみきんえもん)夫婦の木像が納められています。
工事の予算をオーバーした責任で、自害した夫婦を弔うためにこの場所に置かれています。
3.忘れ傘(わすれがさ)
御影堂(みえいどう)の屋根の裏側にある傘を「忘れ傘(わすれがさ)」といいます。伝説的な彫刻職人(ちょうこくしょくにん)である左甚五郎(ひだりじんごろう)が、魔除けのために置いたとのことです。
また、白狐が住み家を作ってもらったお礼に、知恩院を守る傘を置いたという説もあります。
4.抜け雀(ぬけすずめ)
大方丈(だいほうじょう)という建物の「菊の間(きくのま)」という部屋に、狩野信政(かのうのぶまさ)が描いた襖絵(ふすまえ)があります。
この襖絵(ふすまえ)に描かれた雀(すずめ)たちが、あまりにうまく描かれていたため、生命を受けて飛び去ったといわれています。
5.三方正面真向の猫(さんぽうしょうめんまむかいのねこ)
方丈(ほうじょう)という建物の廊下の戸には、狩野信政(かのうのぶまさ)が描いた猫がいます。この猫はどこから見ても、見た人を正面から睨んで(にらんで)いるように見えます。
6.大杓子(おおひしゃく)
大方丈(だいほうじょう)という建物の入口で、大きな杓子(ひしゃく)が天井に置かれています。長さ2.5メートル、重さ約30キロと巨大な柄杓です。
7.瓜生石(うりゅうせき)
知恩院西側の路上には、柵がめぐらされた「瓜生石(うりゅうせき)」という石があります。この石にたった一晩で瓜(うり)が実り、「牛頭天王(ごずてんのう)」の文字が記されていたので、牛頭天王(ごずてんのう)をまつる粟田神社(あわたじんじゃ)に納めたと伝わります。
また、石の下には二条城まで続く抜け道があるなど、さまざまな説がある不思議な石です。
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下鴨神社の七不思議
京都市左京区にある下鴨神社(しもがもじんじゃ)は、正式には賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)と言いまして、上賀茂神社(かみがもじんじゃ)とともに人気がある神社です。下鴨神社にも七不思議がありますので、順番に紹介いたします。
1.連理の賢木(れんりのさかき)
下鴨神社の境内(けいだい)には、縁結びのご利益で知られる「相生社(あいおいのやしろ)」があります。
その脇に「理の賢木(れんりのさかき)」とよばれるご神木(しんぼく)があるのですが、2本の木が1本に結ばれていて、その間から子どもの木が生えていることから、縁結びだけでなく安産や育児、家庭円満などのご利益があるとされています。
ちなみにご神木(しんぼく)とは信仰の対象となる木のことです。現在のご神木は4代目なのですが、木が枯れてしまっても必ず同じように、途中でつながった木が見つかる不思議なご神木です。
2.何でも柊(なんでもひいらぎ)
比良木社(ひいらぎしゃ)というお社(やしろ)の周りに、どんな木を植えたとしても、なぜか葉っぱが柊(ひいらぎ)のようにギザギザになるといわれています。
実際にチェックしてみると、周辺の木の葉はみんなギザギザとなっています。
3.御手洗池の泡(みたらしいけのあわ)
下鴨神社のみたらし祭(まつり)は有名な神事で、健康を祈って御手洗池(みたらしいけ)に足をつける「足つけ神事」はたいへん人気があります。
そんなみたらし祭の日が近づいてくると、不思議なことに、池の底から玉のような丸い泡の水が湧き出てきます。この泡の形をもとにして作られたのが、みたらし団子だと伝えられています。
4.烏縄手(からすのなわて)・泉川の浮き石(いずみがわのうきいし)
下鴨神社敷地の糺の森(ただすのもり)の参道を進むと、「烏縄手(からすのなわて)」と呼ばれる道があります。
この道は下鴨神社にまつられている神さまである「賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)」を参拝するための細道です。
賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)は「八咫烏(やたがらす)」という別名があり、「縄手(なわて)」は細くて長い道を意味することから、「烏縄手(からすのなわて)」呼ばれています。
「烏縄手」の入り口付近にかかる紅葉橋(もみじばし)のたもとに、かつて「こがらし社」というお社がありました。
雨ごいによって雨が降ると、橋の下を流れる川で、小石が飛び跳ねたと伝わります。
5.舟ヶ島・奈良社旧跡
泉川(いずみがわ)と奈良の小川が合流した「船ヶ島」というところの周辺に、かつて神事に使用された「奈良殿神地(ならどののかみのにわ)」がありました。
奈良殿神地で願い事をし、奈良の小川の流れをかき回した時に小石が跳ねると願い事が叶うと言われています。
6.赤椿(あかつばき)
かつて、下鴨神社の神主(かんぬし)さんは位が高く、外からやってきたお使いの人たちの方が位が低かったケースが多々ありました。
神官の服が目立たないように気づかいをして、赤いツバキをたくさん植えたとのことです。そのため、糺の森には赤い花が咲くツバキがたくさんあるのです。
7.切芝(きりしば)
糺ノ森の中心にある切芝(きりしば)は、「糺ノ森のへそ」といわれています。京都三大祭(きょうとさんだいまつり)の1つである葵祭(あおいまつり)に先立って、5月12日に行われる「御蔭祭(みかげまつり)」では、切芝神事(きりしばしんじ)として神さまに舞が披露されます。
古くから儀式などが行われていた場所のようですが、詳しいことは分かっていません。
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まとめ
京都の七不思議として、北野天満宮、清水寺、知恩院、下鴨神社の七不思議をそれぞれ紹介させていただきました。これらを知った上で参拝すると、より一層有意義な時間が過ごせるかと思いますので、ぜひ参考にしてください。
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