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京都の南禅寺(なんぜんじ)に行かれたことがありますでしょうか?南禅寺は臨済宗(りんざいしゅう)という宗派のお寺で、正しくは太平興国南禅禅寺(たいへいこうこくなんぜんぜんじ)といいます。この記事で詳しく解説しますので、ぜひ参拝時の参考としてください。
南禅寺の歴史や見どころをご紹介
南禅寺(なんぜんじ)は京都市左京区にあるお寺で、臨済宗南禅寺派の大本山(だいほんざん)です。正式には太平興国南禅禅寺(たいへいこうこくなんぜんぜんじ)といい、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)という仏さまを本尊(ほんぞん)としています。
釈迦牟尼仏とはお釈迦様が悟りを開いて仏さまになった後の呼び方です。そんな南禅寺について歴史や見どころから紹介します。
南禅寺の歴史
南禅寺は、1264年(鎌倉時代)に亀山天皇(かめやまてんのう)〈在位:1260年~1274年〉が母である大宮院(おおみやいん)の住まいとして造った禅林寺殿(ぜんりんじどの)が前身です。
亀山天皇が無関普門(むかんふもん)というお坊さんを迎えてつくりましたが、無関普門(むかんふもん)は迎えられた年に亡くなってしまったため、規庵祖円(きあんそえん)というお坊さんが第2世に選ばれました。
1292年(鎌倉時代)には伽藍(がらん)の整備が本格化して、およそ15年かけて各伽藍が整いました。そのため、規庵祖円(きあんそえん)が開いたお寺といわれています。
南禅寺の見どころ
南禅寺は見どころが多いですが、数ある見どころの中からいくつかピックアップいたします。
国宝の方丈
南禅寺の方丈(ほうじょう)は、1611年(江戸時代)に、御所の建物をもらって再建したものです。大方丈と小方丈で構成され、多くの部屋があり、昭和28年に国宝(こくほう)となりました。
小方丈は伏見城(ふしみじょう)の遺構(いこう)とされており、内部に狩野探幽(かのうたんゆう)が描いたと伝えられる 「群虎図(ぐんこず)」が襖(ふすま)40面にあり、重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定されています。
大方丈の前にある庭園は、小堀遠州(こぼりえんしゅう)という建築家が作ったと伝えられ、通称で「虎の子渡しの庭(とらのこわたしのにわ)」と呼ばれています。
三門は石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」で有名
南禅寺の三門(さんもん)は、1295年に建てられました。しかし、室町時代の火災で焼失し、現在の三門は1628年(江戸時代)に、藤堂高虎(とうどうたかとら)という武将が大坂夏の陣(おおさかなつのじん)で亡くなった家来を弔(とむら)うために再建したものです。
この三門は歌舞伎(かぶき)「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の中で、石川五右衛門(いしかわごえもん)が満開の桜を眺めて「絶景かな、絶景かな」という場面で知られています。
三門の高さは約22メートルあり、東福寺(とうふくじ)、山梨県の久遠寺(くおんじ)の三門とともに日本三大門(にほんさんだいもん)に数えられています。
【関連記事】東福寺は紅葉と庭園が素晴らしい【京都の寺社100選】(東山区)
サスペンスで有名な南禅寺水路閣
南禅寺を向かって右奥に歩いていくと、水路閣(すいろかく)があります。水路閣とは滋賀県の琵琶湖(びわこ)から流れる人口の水路「疎水(そすい)」が分かれた橋です。
赤レンガ作りの橋の上に水が流れています。明治時代に完成した全長93.2メートルの水路閣は、サスペンスドラマの撮影場所として有名で、隠れた京都観光スポットとして人気となっています。
南禅寺のお役立ち情報
南禅寺に関するお役立ち情報をお伝えいたします。以下のことを知っておくと観光がより楽しくなるはずですので、ぜひ押さえておきましょう。
- 南禅寺は京都五山の別格
- 南禅寺は武家面と呼ばれた
- 南禅寺の御朱印
- 南禅寺は素晴らしい塔頭が多い
南禅寺は京都五山の別格
臨済宗(りんざいしゅう)のお寺には、室町時代に始まった「五山・十刹(ござん・じっさつ)」という格付け制度があります。カンタンにいうとお寺のランキングです。
京都五山によると、南禅寺は1位よりも上の別格として扱われており、その格式の高さを表しています。
京都五山(※1386年時点) | |
別格上位 | 南禅寺(なんぜんじ) |
1位 | 天龍寺(てんりゅうじ) |
2位 | 相国寺(しょうこくじ) |
3位 | 建仁寺(けんにんじ) |
4位 | 東福寺(とうふくじ) |
5位 | 万寿寺(まんじゅじ) |
五山の下に十刹があり、例えば等持院(とうじいん)などが入っています。
※本来は足利氏の政治的な事情による格付け
南禅寺は武家面と呼ばれた
お寺の特徴を言い表したものとして、「〇〇面(づら)」という呼び方があります。たとえば、建仁寺(けんにんじ)は詩や文芸などが得意なお坊さんを生み出し、「五山文学(ござんぶんがく)」という文芸を作り出したので「建仁寺の学問面(がくもんづら)」といいます。
大徳寺(だいとくじ)は茶の湯文化と縁が深く「大徳寺の茶面(ちゃづら)」といいます。このような呼び方の中で、南禅寺は武家の信者が多くて繁栄したため、「南禅寺の武家面(ぶけづら)」といわれました。これらの言い表しは以下にまとめます。
「〇〇面(づら)」 | |
南禅寺の武家面(ぶけづら) | 武家の信者が多くて繁栄した |
相国寺(しょうこくじ)の声明面(しょうみょうづら) | お経などが美しい |
建仁寺の学問面(がくもんづら) | 詩や文芸などが得意なお坊さんを輩出 |
東福寺(とうふくじ)の伽藍面(がらんづら) | お寺の建物が立派。25の塔頭(たっちゅう)を有する |
大徳寺の茶面(ちゃづら) | 茶の湯文化と縁が深い |
妙心寺(みょうしんじ)の算盤面(そろばんづら) | 組織運営が得意 |
南禅寺の御朱印
南禅寺の御朱印は、「金剛王宝殿」と書かれた御朱印と、「利益衆生」と書かれた御朱印があります。「金剛王宝殿」と書かれた御朱印は方丈(ほうじょう)の拝観受付でいただけます。
「利益衆生」と書かれた御朱印は南禅寺の塔頭(たっちゅう)である南禅院(なんぜんいん)でいただける御朱印です。
南禅寺ではオリジナルの御朱印帳も扱っています。オリジナル御朱印帳は、先述した狩野探幽(かのうたんゆう)の「群虎図(ぐんこず)」がデザインされた御朱印帳と、水路閣(すいろかく)がデザインされたものがあります。京都の寺社の中でも人気の御朱印ですので、ぜひ手に入れましょう。
南禅寺は素晴らしい塔頭が多い
南禅寺だけでも見ごたえのあるスポットなんですが、南禅寺には必見の塔頭(たっちゅう)があります。数ある塔頭の中から、「天授庵(てんじゅあん)」「南禅院(なんぜんいん)」「金地院(こんちいん)」を紹介します。
天授庵
天授庵(てんじゅあん)は、枯山水庭園(かれさんすいていえん)と池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)を備えたお寺で、紅葉の名所としても知られています。
応仁の乱で焼失しましたが、1602年(江戸時代)に細川幽斎(ほそかわゆうさい)〈藤孝(ふじたか)〉によって再建されました。南禅寺周辺に来たらぜひ訪れたいお寺の1つです。
南禅院
南禅院(なんぜんいん)は、南禅寺の別院(べついん)です。つまり、南禅寺に準じるお寺です。皇居など別に設けられた宮殿を離宮(りきゅう)といいますが、南禅寺の元となった離宮は「上の御所」と「下の御所」がありました。このうち「上の御所」に仏さまを祀(まつ)るお堂を建てたのが「南禅院」です。
鎌倉時代末期を代表する池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)は美しく、名勝庭園(めいしょうていえん)に指定されています。
金地院
金地院(こんちいん)は室町時代に、現在の京都市北区の鷹峯(たかがみね)に作られたのですが、以心崇伝(いしんすうでん)というお坊さんが1605年(江戸時代)に現在地に移しました。
庭園が有名で、小堀遠州(こぼりえんしゅう)が作った「鶴亀の庭(つるかめのにわ)」は必見です。
南禅寺の参拝情報
南禅寺の参拝情報として以下内容を紹介します。ぜひお出かけ前にチェックしておきましょう。
- 南禅寺の拝観料や参拝時間
- 南禅寺のアクセス
- 南禅寺の駐車場情報
- 南禅寺の地図
南禅寺の拝観料や参拝時間
南禅寺は自由に見学できますが、方丈庭園と三門拝観は有料です。拝観料を以下表にまとめました。
一般 | 高校生 | 小中学生 | |
方丈庭園 | 600円 | 500円 | 400円 |
三門 | 600円 | 500円 | 400円 |
拝観時間は季節で異なりますので、以下をご参照ください。
12月1日~2月28日 | 午前8時40分~午後4時30分 |
3月1日~11月30日 | 午前8時40分~午後5時 |
南禅寺のアクセス
南禅寺は地下鉄東西線「蹴上(けあげ)駅」から徒歩10分です。南禅寺までの道のりは風情がありますので、その雰囲気を楽しみながら向かってください。
南禅寺の駐車場情報
南禅寺には参拝者用駐車場があります。2時間以内が1,000円、2時間以上は1時間ごとに500円追加で利用可能です。ただ、春や秋の観光シーズンは混雑することが多いため、なるべく公共交通機関の利用がおすすめです。
南禅寺の地図
南禅寺の住所は「〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町」です。地図を以下にて掲載しますので、参拝時の参考としてください。
【外部リンク】南禅寺
まとめ
南禅寺は京都五山の別格に位置するお寺で、とても格式高いお寺です。方丈や三門、水路閣など見どころが多いほか、立派な塔頭に囲まれています。ぜひ塔頭寺院の参拝も含め、半日ほどかけてじっくり見学に行きましょう。
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