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京都で仏像を見るとしたら、どこが良い思いますか?この記事では仏像に焦点を当て、おすすめのお寺を紹介します。おすすめルートの紹介や、沢山見られるところ、絶対見て欲しいところなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
おすすめの京都仏像巡りコース
京都には素晴らしい仏像がたくさん存在し、仏像ファンにとって宝庫とも言える街となっています。具体的なおすすめ仏像は後ほど解説しますが、まずは仏像の名所おすすめモデルコースをいくつか紹介します。
- 三十三間堂から泉涌寺までの2時間コース
- 広隆寺から嵯峨嵐山への2時間半コース
- 醍醐寺と周辺の3時間コース
- 大原の仏像巡り3時間半コース
三十三間堂から泉涌寺までの2時間コース
京都市東山区にある三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)は、千体以上の仏像がズラリとならんでおり、その様子は圧巻です。詳しくは後ほど説明しますが、仏像を見たいならぜひ参拝して欲しいお寺です。
三十三間堂から徒歩15分ほどのところに、泉涌寺(せんにゅうじ)の塔頭(たっちゅう)である即成院(そくじょういん)があります。
即成院は、1094年(鎌倉時代)に造られたといわれる阿弥陀如来(あみだにょらい)と25の菩薩像(ぼさつぞう)で知られています。
阿弥陀如来(あみだにょらい)の高さは5.5メートル、25の菩薩(ぼさつ)はそれぞれ150センチで、たいへん立派な仏さまがズラリとならんでいます。
即成院の隣には、同じく泉涌寺の塔頭である戒光寺(かいこうじ)があり、丈六釈迦如来像(じょうろくしゃかにょらいぞう)という、大きな仏像が有名です。
丈六(じょうろく)とは一丈六尺(いちじょうろくしゃく)というサイズ(=約5メートル)のことで、お身体は約5.4メートルあり、台座から光背(こうはい)という後ろの部分も含めると、高さ約10メートルにもなります。
戒光寺から徒歩約6分の泉涌寺(せんにゅうじ)には、運慶(うんけい)作と伝わる「阿弥陀(あみだ)・釈迦(しゃか)・弥鞠(みろく)」という3体の仏像が安置されているほか、後述する楊貴妃観音像(ようきひかんのんぞう)が祀(まつ)られています。
仏像のメジャースポットから穴場の名所まで、さまざまな雰囲気を楽しめるコースです。
《コース概要》
京阪電車七条駅→(徒歩約7分)→三十三間堂→(徒歩約15分)→即成院→(徒歩2分)→戒光寺→(徒歩6分)→泉涌寺
広隆寺から嵯峨嵐山への2時間半コース
京都市右京区にある広隆寺(こうりゅうじ)には、国宝第一号として知られる弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)のをはじめ、素晴らしい仏像の数々を見れます。
広隆寺から京福電鉄(けいふくでんてつ)を使えば、徒歩も含め約25分で右京区の嵯峨(さが)にある清凉寺(せいりょうじ)に着きます。清凉寺は嵯峨釈迦堂(さがしゃかどう)と通称され、本尊の釈迦如来立像(しゃかにょらいりゅうぞう)は仏像ファンの間で有名です。
清凉寺から徒歩約2分のところには、二尊院(にそんいん)があります。二尊院の名は、本尊である「釈迦如来(しゃかにょらい)」と「阿弥陀如来(あみだにょらい)」の二尊に由来します。鎌倉時代中頃に作られたと言われ、重要文化財に指定されています。
二尊院からさらに足を延ばして5分ほど歩くと、祇王寺(ぎおうじ)というお寺があります。祇王寺には味わいのある草庵(そうあん)が建てられており、中には本尊である大日如来(だいにちにょらい)のほか、平清盛(たいらのきよもり)、祇王(ぎおう)、祇女(ぎじょ)、母、仏御前(ほとけごぜん)の木造が安置されています。
これら木像は悲しい恋物語の登場人物で、詳しくは以下関連記事をご覧ください。
【関連記事】祇王寺は悲しい恋の物語が有名【京都の寺社100選】(右京区)
《コース概要》
京福電鉄太秦広隆寺駅→(徒歩すぐ)→広隆寺→(電車と徒歩で約25分)→清凉寺→(徒歩約2分)→二尊院→(徒歩約5分)→祇王寺
醍醐寺と周辺の3時間コース
京都市伏見区にある醍醐寺(だいごじ)では、後述する霊宝館(れいほうかん)や三宝院(さんぽういん)にて、立派な仏像を参拝可能です。
醍醐寺から徒歩約6分の善願寺(ぜんがんじ)には、腹帯地蔵(はらおびじぞう)と呼ばれる本尊(ほんぞん)がよく知られており、藤原時代(平安時代の中期~後期)に作られた重要文化財(じゅうようぶんかざい)指定の仏像です。安産のご利益があることから、妊婦さんが参拝されることが多いです。参拝は事前に予約しましょう。
善願寺から徒歩約17分のところにある恵福寺(えいふくじ)には、立派な地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)があります。
地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)は、日本最大級といわれており、お堂の中でひと際目をひきます。このお地蔵様は先ほども説明した丈六(じょうろく)サイズ(約4.85メートル)の仏さまで、恵福寺(えいふくじ)の地蔵菩薩像は座っているため、その半分の大きさです。
恵福寺から徒歩3分の所には、後述する法界寺(ほうかいじ)があり、国宝の阿弥陀如来像(あみだにょらいぞう)が見事です。仏像ファンにはたまらない穴場コースですので、ぜひ参拝してください。
《コース概要》
地下鉄東西線醍醐駅→(徒歩約10分)→醍醐寺→(徒歩約6分)の善願寺→(徒歩約17分)→恵福寺→(徒歩3分)→法界寺
※恵福寺本堂参拝は事前予約をおすすめします。
大原の仏像巡り3時間半コース
京都市左京区の大原(おおはら)には、素晴らしい仏像がいくつも存在します。まず、京都バス大原バス停から徒歩14分ほどのところにある来迎院(らいごういん)では、薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)・釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)・阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)の3体が、本尊として祀(まつ)られています。
いずれも藤原時代につくられた素晴らしい仏像です。来迎院から徒歩約5分のところにある三千院(さんぜんいん)は、大原の象徴的存在のお寺で、後述する阿弥陀三尊像(あみださんそんぞう)は必見です。
三千院から徒歩1分の勝林院(しょうりんいん)もおすすめの仏像スポットで、立派な阿弥陀如来(あみだにょらい)が祀(まつ)られています。
この3カ所だけでも仏像を堪能(たんのう)できますが、時間にゆとりがあれば、寂光院(じゃっこういん)へも足を延ばしましょう。
寂光院は勝林院から徒歩22分のところにあります。寂光院は地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)が有名で、2000年の火災にあう前の複製を見ることができます。
《コース概要》
京都バス大原バス停→(徒歩約14分)→来迎院→(徒歩5分)→三千院→(徒歩1分)→勝林院→(徒歩22分)→寂光院
京都で仏像をいっぱい見たいならこのお寺
【京都・三十三間堂/二十八部衆立像(鎌倉初期)】千手観音の眷属となる、等身大の28体。天女や神将はいずれも仏法とその信者を護る護法神です。四天王などポピュラーな者から、摩和羅女など、他では見られないレアな像もあります。 pic.twitter.com/PmsvtBzmhR
— 美しい日本の仏像 (@j_butsuzo) August 19, 2021
ここからはより詳しく、おすすめの仏像について紹介します。まずは仏像をいっぱい見たい人におすすめの寺院として、以下を紹介します。
- 京都で最も多くの種類が見れる東寺
- 京都で最多の仏像が見れる三十三間堂
- 六観音が勢ぞろいした千本釈迦堂
京都で最も多くの種類が見れる東寺
五重塔(ごじゅうのとう)で有名な京都市南区の東寺(とうじ)には有料エリアと無料エリアがあり、それぞれ多くの仏像を見れます。特におすすめしたいのが有料エリアの金堂(こんどう)と講堂(こうどう)です。
金堂の薬師如来像
東寺の金堂(こんどう)は、796年(平安時代)に建てられてから600年以上、その堂々とした姿を誇っていました。
残念ながら1486年(室町時代)に燃えてしまい、現在の建物は1603年(江戸時代)に豊臣秀吉の息子である秀頼(ひでより)が建てたものです。
本尊(ほんぞん)として薬師如来像(やくしにょらいぞう)が祀(まつ)られているほか、本尊に向かって右側に日光菩薩(にっこうぼさつ)、左側に月光菩薩(がっこうぼさつ)がいらっしゃいます。
また、薬師如来の台座には十二神将(じゅうにしんしょう)という仏さまたちがぐるりと並んでおり、薬師如来を守っています。
1486年(室町時代)に焼失した後、仏師である康正(こうしょう)によって復興され、彫刻の歴史に残る素晴らしい仏像だといわれています。
東寺の中心的建物が講堂(こうどう)です。講堂は839年(平安時代)に完成したお堂ですが、1486年(室町時代)に金堂などとともに焼失しました。5年後に最優先で再建されたのが現在の講堂です。
講堂の立体曼荼羅
講堂の中には、宇宙の中心とされる大日如来(だいにちにょらい)を真ん中に、二十一の仏さまがズラリと並んでいます。
その様子は、仏さまの世界や悟りの境地が描かれた「曼荼羅(まんだら)」を表現しており、絵ではなく実際の仏像で表現していることから立体曼荼羅(りったいまんだら)と呼ばれています。
これだけの種類の仏像を同時に見れるところは珍しいため、多くの仏像ファンが集まるお堂となっています。
【関連記事】東寺は五重塔が有名な世界文化遺産【京都の寺社100選】(南区)
【外部リンク】東寺 – 世界遺産 真言宗総本山 教王護国寺
京都で最多の仏像が見れる三十三間堂
三十三間堂の本堂に入ると、1,000体の千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)がズラリと並んでおり、驚くような光景を目の当たりにすることとなります。
「仏像の森」と表現されるほど数多く立ち並ぶ千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)の中には、必ず会いたい人に似た像があるとも伝えられていますので探してみてください。
千手観音立像の前には、風神・雷神像(ふうじんらいじんぞう)と二十八部衆像(にじゅうはちぶしゅうぞう)の合計30体の仏像が並んでおり、いずれも個性豊かな姿をされています。
また、本堂中央には高さ3メートルとひと際大きな千手観音坐像(せんじゅかんのんざぞう)が安置され、仏師である湛慶(たんけい)が、弟子を率いて82歳で完成させたことで知られています。
三十三間堂では、これでもかというほど立派な仏像をたくさん見れますので、仏像ファンにはたまらないお堂となっています。
【関連記事】三十三間堂は千体以上の仏像が圧巻【京都の寺社100選】(東山区)
【外部リンク】蓮華王院 三十三間堂
六観音が勢ぞろいした千本釈迦堂
千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)の通称で知られる、上京区の大報恩寺(だいほうおんじ)には、素晴らしい仏像がまつられており、とても見ごたえがあります。
行快(ぎょうかい)という仏師による「釈迦如来像(しゃかにょらいぞう)」は秘仏(ひぶつ)であるため普段は見れませんが、快慶(かいけい)という仏師による「十大弟子像(じゅうだいでしぞう)」や、定慶(じょうけい)という仏師による「六観音菩薩像(ろくかんのんぼさつぞう)」はいつでも見学可能です。
十大弟子像(じゅうだいでしぞう)、六観音菩薩像(ろくかんのんぼさつぞう)はいずれも重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定されいます。
十大弟子像(じゅうだいでしぞう)は高さ約90cmの仏像が10体ならんでおり、六観音菩薩像(ろくかんのんぼさつぞう)はその名のとおり観音様が6体並んでいます。
その6体聖観音菩薩(しょうかんのん)、千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)、馬頭観音菩薩(ばとうかんのんぼさつ)、十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)、准胝観音菩薩(じゅんていかんのんぼさつ)、如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)の6体で、6観音が同時にまつられているのは全国で大報恩寺のみです。
【関連記事】大報恩寺(千本釈迦堂)は仏像必見【京都の寺社100選】(上京区)
【外部リンク】トップページ|千本釈迦堂 大報恩寺
人気ランキング上位の有名仏像
当サイトの運営元である「京都ユニークイベントことぶら」は、これまで数々の京都ガイドツアーを開催してきました。そんな中、参加者さんたちから好評だった仏像がいくつも存在します。
ここではお寺としてではなく、人気のある仏像を紹介します。以下紹介する仏像を見るために訪問するだけでも価値がありますので、ぜひ参拝してください。
- 永観堂の見返り阿弥陀
- 清涼寺の釈迦如来像
- 六波羅蜜寺の空也上人立像
- 鞍馬寺の毘沙門天像
- 萬福寺の布袋尊像
永観堂のみかえり阿弥陀
京都市左京区にある永観堂(えいかんどう)には、有名な阿弥陀如来像(あみだにょらいぞう)が安置されています。
ご本尊(ほんぞん)であるこちらの阿弥陀如来像は横を向き、振り返っているお姿をされています。永観堂ゆかりの永観(ようかん)というお坊さんが念仏修行中に現れ、振り向いて「永観、おそし」と言葉を発して導いたとされているからです。
そのため「みかえり阿弥陀」と呼ばれて親しまれています。横を向いている珍しさに、人気の高い仏像です。
【関連記事】永観堂は京都屈指の紅葉スポット!【京都の寺社100選】(左京区)
【外部リンク】永観堂(Eikando,Kyoto)
清涼寺の釈迦如来立像
京都市右京区にある清凉寺(せいりょうじ)には、奝然(ちょうねん)というお坊さんが宋(そう)より持ち帰った「釈迦如来立像(しゃかにょらいりゅうぞう)」が安置されています。
この釈迦如来立像は、お釈迦さまの37歳の時の生身の姿を現した像といわれ、異国の雰囲気にあふれたお姿をされています。清凉寺式(せいりょうじしき)と呼ばれ、多くの類似品が作られました。
ちなみに、清凉寺の釈迦如来立像の身体の中に、絹(きぬ)でできた内蔵のほか、文書、巻物など多くの品が納められていたことは有名です。国宝(こくほう)に指定されている当仏像が見れるのは、毎月8日(11時以降)、4月・5月、10月・11月です。
【関連記事】清凉寺は釈迦如来像が有名な名寺院【京都の寺社100選】(右京区)
【外部リンク】HOME | 清凉寺(嵯峨釈迦堂)
六波羅蜜寺の空也上人立像
京都市東山区の六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)には、多くの人が教科書などで見たことがあると仰る「空也上人立像(くうやしょうにんりゅうぞう)」があります。鎌倉時代に有名仏師である運慶(うんけい)の四男「康勝(こうしょう)」が作りました。
一番の特徴は、念仏を唱える口から6体の仏さま〈阿弥陀(あみだ)さま〉が現れたという言い伝えを、そのまま仏像にしているところです。空也上人立像(くうやしょうにんりゅうぞう)は重要文化財に指定されています。
【関連記事】六波羅蜜寺にある有名な仏像とは?【京都の寺社100選】(東山区)
【外部リンク】六波羅蜜寺
鞍馬寺の毘沙門天像
京都市左京区の鞍馬寺(くらまでら)には、霊宝殿(れいほうでん)という建物があり、1階は自然科学に関する展示、2階はお寺の宝ものや、歌人である與謝野鉄幹(よさのてっかん)・晶子(あきこ)夫婦の記念室となっています。
3階に仏像が安置されており、ここにある毘沙門天(びしゃもんてん)は仏像ファンに有名です。平安時代につくられた毘沙門天は、右手に鉾(ほこ)を持ち、左手は目の上にかざし、京都の北の方を警備している姿となっています。
その姿が珍しいことや、動きを感じられることから、毘沙門天の中で特に人気の仏像です。
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【外部リンク】総本山 鞍馬寺
萬福寺の布袋尊像
京都府宇治市の萬福寺(まんぷくじ)の天王殿(てんのうでん)という建物は、四天王像(してんのうぞう)や韋駄天像(いだてんぞう)など、見ごたえのある仏像が祀(まつ)られています。
特に人気なのが布袋(ほてい)さんの像で、お釈迦(しゃか)様の跡継ぎである弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身といわれています。
ふくよかなお腹や、ありがたみのある笑顔、ご利益がありそうな金色のお姿は、ほかの仏像とは異なる雰囲気をかもしだしています。
【関連記事】萬福寺は黄檗宗の大本山【京都の寺社100選】(京都市外)
【外部リンク】黄檗宗大本山萬福寺 ‐京都府宇治市
美しい仏像がを見たいならここ
広隆寺・弥勒菩薩像(撮影/小川晴暘) pic.twitter.com/iHlfiDCHYj
— 龍陽⛵海容 (@unbonvinblanc) February 20, 2018
仏像の中には、息をのむような美しいものがあります。ここでは美しさに焦点をあてて、以下おすすめ仏像を紹介します。
- 広隆寺の弥勒菩薩像
- 泉涌寺の楊貴妃観音像
- 醍醐寺の木造弥勒菩薩坐像
広隆寺の弥勒菩薩像
京都市右京区にある広隆寺(こうりゅうじ)で有名なのが、先ほど少しだけ紹介した国宝の弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)です。飛鳥時代を代表する仏像で、国宝第一号の仏像として知られています。
この弥勒菩薩だけが国宝第一号と勘違いしている人も多いようですが、この仏像が国宝に指定された1951年(昭和26)年6月9日付けの指定はほかにも多数あります。
そんな広隆寺の弥勒菩薩は泣いているような顔立ちから「泣き弥勒(なきみろく)」と呼ばれて親しまれていますが、過去には本当に弥勒菩薩が泣いてしまうような事件がありました。
1960年に、弥勒菩薩の余りの美しさに京大生が像に触れ、右手薬指を折ってしまったのです。本人は自首した上、薬指も修復されていますが、今でも語り草となっています。弥勒菩薩は霊宝殿(れいほうでん)で見ることができます。
【関連記事】広隆寺は京都最古のお寺の1つ【京都の寺社100選】(右京区)
泉涌寺の楊貴妃観音像
京都市東山区にある泉涌寺(せんにゅうじ)には、楊貴妃観音堂(ようきひかんのんどう)というお堂があり、中には聖観音像(しょうかんのんぞう)が安置されています。
この聖観音像(しょうかんのんぞう)は1230年(鎌倉時代)に南宋(なんそう)<中国>から伝来した木像で、唐(とう)<中国>の第6代皇帝である「玄宗皇帝(げんそうこうてい)」が、亡き楊貴妃(ようきひ)の面影を写(うつ)させて造られたと伝わっています。
そのため、江戸時代初めごろから「楊貴妃観音像(ようきひかんのんぞう)」と呼ばれて親しまれています。絶世の美女といわれた楊貴妃(ようきひ)を写したとされることや、美しく保存された像の姿から、多くの女性が美人祈願(びじんきがん)として参拝する人気の観音様です。
【関連記事】泉涌寺は天皇家から深く信仰された【京都の寺社100選】(東山区)
【外部リンク】御寺 泉涌寺
醍醐寺の木造弥勒菩薩坐像
京都市伏見区にある醍醐寺(だいごじ)には、三宝院(さんぽういん)という塔頭寺院(たっちゅうじいん)があります。
その三宝院の本堂に安置されている木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)は、表面の木目が細かい美しい仏像です。
鎌倉時代に快慶(かいけい)という有名仏師が作った仏像で、重要文化財に指定されています。残念ながら現在、三宝院の本堂は非公開となっています。特別公開されている時はぜひ見に行ってください。
【関連記事】醍醐寺は桜が有名な世界文化遺産【京都の寺社100選】(伏見区)
【外部リンク】世界遺産 京都 醍醐寺
かっこいいと名高い京都の仏像
東寺の帝釈天噂通りのイケメンでした pic.twitter.com/DIYukJTMj6
— びっけ/エイラ4巻6/16発売📚 (@BK0418) May 31, 2019
仏像の中には、その姿がカッコイイと評判のものもあります。ここでは多くの仏像の中からカッコイイ仏像として以下を紹介します。
- イケメンと呼び声高い東寺の帝釈天
- かっこいい萬福寺の韋駄天
- 横顔推し!勝林院の阿弥陀如来像
イケメンと呼び声高い東寺の帝釈天
先ほど紹介した東寺にある講堂(こうどう)の立体曼荼羅(りったいまんだら)の中には、イケメンとして人気の仏像があります。
その仏像とは、出口付近に祀(まつ)られている帝釈天(たいしゃくてん)です。切れ長の目と、凛々(りり)しい眉(まゆ)、キリっとした表情で、女性仏像ファンが多い仏さまです。
角度を変えて見学する人や、夕日の時間にうっとり見る人など、マニアのような人がいるほど、多くの人を魅了(みりょう)する仏像です。
かっこいい萬福寺の韋駄天
こちらも先ほど紹介したお寺ですが、萬福寺(まんぷくじ)の韋駄天(いだてん)もカッコイイ仏像です。韋駄天(いだてん)は、捷疾(やくしゃ)というオニが、お釈迦さまの遺骨を奪って逃げた際、これを追って取り戻したといわれている仏さまです。
そのことから、足が速い仏さまとか、盗難よけの仏さまとしても知られています。萬福寺(まんぷくじ)の韋駄天(いだてん)は、お寺の守護神として、天王殿(てんのうでん)という建物に祀(まつ)られています。
横顔推し!勝林院の阿弥陀如来像
左京区大原(おおはら)にある勝林院(しょうりんいん)の本堂には、先述のとおり立派な「阿弥陀如来(あみだにょらい)」という仏像が祀(まつ)られています。
阿弥陀如来像の指からヒモが伸びていて、触るとご縁を結べると言われていますので、ぜひ握ってみてください。
この阿弥陀如来像は横顔がおすすめです。たいへん凛々(りり)しく、落ち着いていて、上品で、その上ちょっぴりミステリアスな感じがする素敵な雰囲気に、多くの横顔ファンがついています。
【関連記事】勝林院は大原問答と仏像が有名【京都の寺社100選】(左京区)
【外部リンク】魚山大原寺勝林院|公式ホームページ|天台声明の聖地
京都で怖い仏像といえば?
仏像の中にはちょっと怖い印象を受けるものがあります。ただ、明王(みょうおう)というランクの仏さまや、天部(てんぶ)というランクの仏さまの多くは、怖い表情をしていることが多く、京都の至る所のお寺にありますので、ここでは特に怖い表情をしている仏さまや、ほかとは違う怖い雰囲気の仏さまを紹介します。
- 千本釈迦堂の大迦葉立像の表情
- 威厳のある厳し目の表情!神護寺の薬師如来立像
- 地獄から救われた!三十三間堂の婆藪仙人像
迫力満点!千本釈迦堂の大迦葉立像の表情
【十大弟子総選挙】大迦葉(だいかしょう)
質素で清貧。記憶力に優れる。
(撮影:小野祐次)#十大弟子総選挙 #快慶・定慶展リツイートで投票!https://t.co/Qjeuv1HOXl pic.twitter.com/oodIUjUWkK
— おかめちゃん@快慶・定慶展【公式】 (@kaikeijokei2018) September 3, 2018
千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)の大迦葉立像(だいかしょうりゅうぞう)は、一見怖い表情をしています。しかし、実はとてもありがたい仏さまです。
大迦葉はお釈迦(しゃか)さまの十大弟子で、その中でも特に代表的な3人のうちの1人です。お釈迦さまの身の回りの世話をする役割として常にお釈迦さまの近くにいた大迦葉は、千本釈迦堂では怖い表情ですが、実は美男だったようですよ。
自身の袈裟(けさ)〈※仏教の服〉をお釈迦さまに差し上げ、逆に古い袈裟をもらって常に着ていました。頭陀行(ずだぎょう)という苦しい修行生活を守り続けたので、「頭陀第一(ずだだいいち)〈修行第一〉」と褒めたたえられました。
威厳のある厳し目の表情!神護寺の薬師如来立像
【京都・神護寺/薬師如来立像(~793年)】衣服の様子や、威厳のある表情などが平安初期の如来像の代表的な特徴をあらわしている。像高170.6センチ、金堂の本尊。 pic.twitter.com/Ybwp4Veu84
— 美しい日本の仏像 (@j_butsuzo) April 11, 2022
京都市右京区にある神護寺(じんごじ)は、紅葉の名所として知られるお寺です。神護寺の本尊である薬師如来立像(やくしにょらいりゅうぞう)は、穏やかな如来(にょらい)という位の仏さまの割に、厳しい表情をしています。鋭いまなざしとへの字口により、恐怖心という怖さではなく、全てを見透かされているような畏れ(おそれ)敬う心情になるでしょう。
【関連記事】神護寺は最澄も空海もゆかりがある【京都の寺社100選】(右京区)
地獄から救われた!三十三間堂の婆藪仙人像
【京都・三十三間堂/二十八部衆立像(鎌倉初期)】多くは古代インドに起源をもつ神々。吉祥天、鬼子母神、仁王、阿修羅などを含む。迦楼羅王のような異形の神も存在する。枯れた老人の風貌と肉体を写実的に表現する婆藪仙人像が特に有名。 pic.twitter.com/LbTQnbe7yS
— 美しい日本の仏像 (@j_butsuzo) March 30, 2022
三十三間堂に二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)としてまつられている「婆藪仙人像(ばすせんにんぞう)」は、たいへん独特の姿をしています。
殺生の罪により生きたまま地獄に落ちましたが、菩薩(ぼさつ)さまの力によって救われ、お釈迦様の元で人々を救うと誓いました。
削げ落ちた表情とやせ細った姿から、地獄から救われたことが納得できます。
絶対に訪ねたい阿弥陀如来坐像
仏像にはランクがあり、その頂点に君臨するのが如来(にょらい)です。複数の如来の中で、極楽浄土(ごくらっくじょうどう)のトップである阿弥陀如来(あみだにょらい)に焦点をあて、以下おすすめを紹介します。
- 三千院の阿弥陀三尊像
- 平等院の阿弥陀如来像
- 法界寺の阿弥陀如来像
- 誓願寺の阿弥陀如来像
- 浄瑠璃寺の九体阿弥陀
三千院の阿弥陀三尊像
左京区大原(おおはら)の三千院(さんぜんいん)には、有清園(ゆうせいえん)という庭園があり、その中には往生極楽院(おうじょうごくらくいん)というお堂があります。
平安時代に恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)という僧が、父母を弔(とむら)うため、姉の安養尼(あんように)とともに建てたと伝わっています。
お堂の中には立派な阿弥陀三尊像(あみださんそんぞう)が祀(まつ)られており、堂内には天女(てんにょ)や多くの仏さま〔具体的には菩薩(ぼさつ)〕の姿が描かれ、極楽浄土(ごくらくじょうど)の世界を表現しています。
劣化により肉眼では分かりにくくいのですが、出口付近にある展示室では、建てられた当時の姿で復元されているので、こちらで確認することができます。
お堂内の阿弥陀三尊像(あみださんそんぞう)は、真ん中が阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)、向かって左側が勢至菩薩坐像(せいしぼさつざぞう)、右側が観音菩薩坐像(かんのんぼさつざぞう)の3尊で、両菩薩は共に前かがみとなっている「大和坐り(やまとずわり)」をした珍しい仏像です。
ちなみに、阿弥陀三尊像は国宝、建物は重要文化財に指定されています。
【関連記事】三千院は見事な庭園と仏像が必見【京都の寺社100選】(左京区)
【外部リンク】天台宗 京都大原三千院
平等院の阿弥陀如来像
京都府宇治市にある平等院(びょうどういん)には、有名な鳳凰堂(ほうおうどう)があり、1053年(平安時代)に建てられました。池の中央にある島に建てられており、浮かんでいるように見えます。
阿弥陀如来(あみだにょらい)を祀(まつる)「阿弥陀堂(あみだどう)」なのですが、翼を広げた鳥のように見えることと、屋根の上に1対の鳳凰(ほうおう)が設置されていることから、江戸時代初め以降「鳳凰堂(ほうおうどう)」と呼ばれるようになりました。
中央に祀(まつ)られている阿弥陀如来(あみだにょらい)像は、平安時代を代表する仏師(ぶっし)「定朝(じょうちょう)」の作です。
実は、現在残っている仏像で、定朝(じょうちょう)が作ったことが確実に分かっているのはこの阿弥陀如来だけです。鳳凰堂も阿弥陀如来像も国宝に指定されています。
【関連記事】平等院は鳳凰堂中心の極楽の世界【京都の寺社100選】(京都市外)
【外部リンク】世界遺産 平等院
法界寺の阿弥陀如来像
先述した京都市伏見区の法界寺(ほうかいじ)では、阿弥陀堂(あみだどう)の中に2.8メートルの阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)が安置されています。
この阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)は国宝(こくほう)で、平安時代を代表する仏師(ぶっし)である「定朝(じょうちょう)」の流れをくむ作り方となっています。
そのため、定朝(じょうちょう)が作った平等院鳳凰堂(びょうどういんほうおうどう)の阿弥陀如来像にそっくりです。国宝の仏像を真ん前で見れる貴重なお堂で、仏像だけでなくお堂も国宝です。
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誓願寺の阿弥陀如来像
京都市中京区にある誓願寺(せいがんじ)の本堂(ほんどう)に入ると、素晴らしい仏像に驚いてしまいます。4.85メートルもある大きな阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)は、2人の仏師(ぶっし)が別々に彫ったのですが、合体すると見事にピッタリ合ったという仏さまです。
誓願寺は京都有数の繁華街(はんかがい)である新京極通(しんきょうごくどおり)沿いにあるのですが、繁華街のど真ん中で、これだけ大きくて立派な仏像が見れるのは珍しいのではないでしょうか。
お堂が開いていると新京極通からも見えますが、意外と気がつきにくく、京都人でも見たことがないという人が多いです。
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浄瑠璃寺の九体阿弥陀
京都府木津川市(きづがわし)の浄瑠璃寺(じょうるりじ)は、三重塔(さんじゅうのとう)に安置されている「薬師如来(やくしにょらい)」の世界を思わせるお寺です。
阿弥陀如来が来世の極楽浄土(ごくらくじょうど)のトップだとすれば、薬師如来は過去世の浄瑠璃浄土(じょうるりじょうど)のトップです。
そんな浄瑠璃寺ですが、実は阿弥陀如来が有名です。9体の阿弥陀如来がズラリと横並びに祀(まつ)られています。
黄金に輝くこの九体阿弥陀(くたいあみだ)は、その美しい姿で多くの参拝者に感動を与えてきました。阿弥陀如来を見学したい場合には、ぜひ訪れて欲しいお寺です。
まとめ
京都のお寺には、素晴らしい仏像がたくさん安置されています。いずれの仏像も個性的で参拝しがいがある上、仏像を目の前にするとキリっとした気持ちにさせてくれます。
本当はほかにも数多くおすすめ仏像があるのですが、キリがないので特におすすめだけ紹介させて頂きました。ぜひ当記事を参考にしていただき、お気に入りの仏像を見つけてください。
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