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京都で庭園といえばどこの寺社?おすすめのモデルコースをご紹介

この記事を読むのに必要な時間は約 15 分です。

京都で庭園が美しい寺社といえば、どこを思い浮かべますか?京都には見ごたえのある庭園を持つ寺社が数多く存在します。この記事ではおすすめやモデルコースを詳しく紹介しますので、ぜひ観光の参考としてください。

知っておきたい庭園の種類 

鹿苑寺庭園
鹿苑寺庭園

庭園には4つの種類があります。まずは予備知識として以下4つの種類について把握しておきましょう。

  • 池泉式庭園
  • 枯山水庭園
  • 浄土式庭園
  • 露地

 

池泉式庭園

池泉式庭園(ちせんしきていえん)とは、池や島を配置した庭園のことで、歩いて楽しむ「回遊式(かいゆうしき)」と、お堂などから眺める「観賞式(かんしょうしき)」船に乗って楽しむ「舟遊式(せんゆうしき)」の3つがあります。

回遊式は自分のペースで見学できるメリット、観賞式はお堂の柱を額縁(がくぶち)に見立てて眺められるメリット、舟遊式は連続的に動く景色を楽しめるメリットがあります。

池泉式庭園は、平安時代の貴族の邸宅に多く作られました。

 

枯山水庭園

枯山水庭園(かれさんすいていえん)は、鎌倉時代に発達した庭園で、水を使わずに水を表現しています。禅寺(ぜんでら)で発達し、坐禅(ざぜん)の場ともなりました。

 

浄土式庭園

浄土式庭園(じょうどしきていえん)とは、極楽浄土(ごくらくじょうど)などの世界をかたどって作った庭園で、おだやかな海岸のようすを小石で表現した州浜(すはま)が特徴的です。

 

露地

路地(ろじ)は、室町時代から江戸時代ころに発達し、街中に山間の景色を作ったものです。茶室の前のお庭とイメージすると分かりやすいでしょう。

非常に小さな庭である坪庭(つぼにわ)のモデルにもなっています。ちなみに路地は茶庭(ちゃてい)ともいいます。

今回のおすすめの庭園紹介では、庭園観光の観点から露地は含んでおらず、それ以外のおすすめ寺社を紹介しています。

 

京都庭めぐりおすすめのモデルコース

水にうつる金閣
水にうつる金閣

京都の庭園をめぐるおすすめモデルコースをいくつか紹介します。ぜひ参考にしてください。

  • 南禅寺だけで完結するコンパクトコース
  • 平安神宮と無鄰菴を巡る小川治兵衛コース
  • 大徳寺だけで完結する枯山水お手軽コース
  • 東福寺だけで完結する重森三玲コース
  • 詩仙堂・圓光寺・曼殊院のバラエティーコース
  • 静かに楽しめる大原コース

 

南禅寺だけで完結するコンパクトコース

左京区の南禅寺(なんぜんじ)だけで完結する、約2時間のコンパクトコースから紹介します。まずは南禅寺の塔頭(たっちゅう)である金地院(こんちいん)から巡りましょう。

金地院は地下鉄東西線「蹴上(けあげ)駅」から徒歩約6分です。金地院(こんちいん)は庭園が有名で、小堀遠州(こぼりえんしゅう)という作庭家が作った「鶴亀の庭(つるかめのにわ)」は必見です。

金地院から徒歩2分ほどのところには、南禅寺塔頭の天授庵(てんじゅあん)があります。天授庵は、枯山水庭園(かれさんすいていえん)と池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)を備えたお寺で、紅葉の名所としても知られています。

天授庵から徒歩約4分のところにある南禅院(なんぜんいん)もおすすめです。南禅院は、南禅寺の別院(べついん)です。つまり、南禅寺に準じるお寺です。

鎌倉時代末期を代表する池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)は美しく、名勝庭園(めいしょうていえん)に指定されています。

南禅院から徒歩約2分のところに、南禅寺があります。南禅寺の方丈(ほうじょう)は、大方丈と小方丈で構成され、大方丈の前にある庭園は、通称で「虎の子渡しの庭(とらのこわたしのにわ)」と呼ばれています。

ちなみにこの庭園は小堀遠州(こぼりえんしゅう)が作ったと伝えられています。

《コース概要》

地下鉄東西線「蹴上駅」→(徒歩約6分)→金地院→(徒歩約2分)→天授庵→(徒歩約4分)→南禅院→(徒歩約2分)→南禅寺

 

平安神宮と無鄰菴を巡る小川治兵衛コース

京都市左京区の無鄰菴(むりんあん)は、地下鉄東西線「蹴上駅(けあげえき)」から徒歩約7分のところにあります。

無鄰菴は明治・大正時代の政治家である山縣有朋(やまがたありとも)の別荘で、日露戦争開戦前に行われた「無鄰菴会議」が行われた部屋があることで知られています。

そんな無鄰菴の庭園は、山縣有朋の指示で、七代目小川治兵衛(おがわじへえ)により作られました。三角形の狭い敷地でありながら、広大な自然風景に見える素晴らしい庭園です。

無鄰菴から徒歩約6分のところにある平安神宮(へいあんじんぐう)の庭園も見事です。平安院宮の庭園は明治時代の代表的日本庭園で、社殿(しゃでん)を取り囲むように東・中・西・南の四つの庭で構成されています。

約10,000坪もある大きな池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)で、南の庭以外は7代目小川治兵衛によってつくられています。合計1時間半ほどで十分楽しめます。

《コース概要》

地下鉄東西線「蹴上駅」→(徒歩約7分)→無鄰菴→(徒歩約6分)→平安神宮

 

大徳寺だけで完結する枯山水お手軽コース

京都市北区にある大徳寺(だいとくじ)は、市バス「大徳寺前(だいとくじまえ)」バス停から徒歩すぐのところにあります。

大徳寺には20を超える多くの塔頭があり、おすすめの塔頭は高桐院(こうとういん)大仙院(だいせんいん)瑞峯院(ずいほういん)龍源院(りょうげんいん)です。

高桐院(こうとういん)は、細川藤孝(ほそかわふじたか)という戦国大名を弔(とむら)うお寺です。苔(こけ)が茂(しげ)った美しい参道や、客殿(きゃくでん)という建物前のお庭が見事です。

そのお庭には灯籠(とうろう)がポツンと立ち、シンプルであるもののずっとその場にいたくなるお庭です。境内(けいだい)には細川家のお墓や、細川藤孝(ほそかわふじたか)に嫁いだ細川ガラシャ(明智光秀の娘)のお墓があります。

高桐院(こうとういん)以外のおすすめ塔頭寺院は、枯山水庭園(かれさんすいていえん)の項目にて後述いたします。

《コース概要》

市バス「大徳寺前」バス停から徒歩すぐ。高桐院、大仙院、瑞峯院、龍源院、いずれも大徳寺境内にありますので、お好きな順番で巡ってください。所要時間は1か所15分~30分程度。

 

東福寺だけで完結する重森三玲コース

京都市東山区にある東福寺(とうふくじ)は、有名な作庭家(さくていか)である重森三玲(しげもりみれい)のお庭を楽しめます。

東福寺の方丈(ほうじょう)の庭園や、塔頭(たっちゅう)の霊雲院(れいうんいん)芬陀院(ふんだいん)光明院(こうみょういん)と、東福寺周辺だけで完結する観光が効率的です。

合計2時間半程度を予定しておきましょう。各寺院の詳細については後述いたします。

《コース概要》

京阪・JR東福寺駅→(徒歩約7分)→霊雲院(れいうんいん)→(徒歩約4分)→芬陀院→(徒歩約1分)→東福寺→(徒歩約2分)→光明院

 

詩仙堂・圓光寺・曼殊院のバラエティーコース

京都市左京区の詩仙堂(しせんどう)は、自然豊かな庭園があり、春夏秋冬それぞれを味わえるお庭となっています。

春のキリシマツツジやアヤメ、夏のホタルブクロやキョウガノコ、秋のシュメイギク、冬のセンリョウやマンリョウなど、さまざまな草花が迎えてくれます。

詩仙堂では、日々の喧騒(けんそう)を忘れ落ち着いた時間が過ごせます。京都市左京区の圓光寺(えんこうじ)の庭園も素晴らしく、十牛之庭(じゅうぎゅうのにわ)は有名です。

牧場で家畜の世話をする子どもを牧童(ぼくどう)といいますが、十牛之庭は牛を追いかける牧童を描いた「十牛図(じゅうぎゅうず)」をモチーフにしています。

十牛之庭の池は洛北エリア最古の池で、周りは山に囲まれ、お堂から見る庭園の風景は絶景です。まるで自然が作った日本絵画で、ここで景色を眺めていると日々の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれます。

同じく左京区の曼殊院(まんしゅいん)も見ごたえある庭園があります。曼殊院の枯山水庭園には、長寿を意味する鶴島(つるしま)と亀島(かめしま)が配置され、小書院(しょうしょいん)という建物は水をさかのぼる屋形船(やかたぶね)を表しています。

鶴島には樹齢400年の松の木があり、この松が鶴を表現し、根元には「曼殊院型石灯篭(まんしゅいんがたいしとうろう)」が据(す)えられています。

大書院(だいしょいん)という建物周辺ではキリシマツツジが植えられているほか、ツバキやウメ、ソメイヨシノなどさまざまな草花が咲き誇り、四季を通じて楽しめる庭園となっています。

3か所で約2時間半ほどを目安としましょう。

《コース概要》

市バス「一乗寺下り松町」停留所→(徒歩約7分)→詩仙堂→(徒歩約4分)→圓光寺→(徒歩約12分)→曼殊院

 

静かに楽しめる大原コース

左京区大原(おおはら)にある三千院(さんぜんいん)は、聚碧園(しゅうへきえん)と有清園(ゆうせいえん)が有名です。

聚碧園(しゅうへきえん)は、建物から眺める形式の池泉鑑賞式庭園(ちせんかんしょうしきていえん)で、ひょうたん形の池を配備しています。思わずため息が漏れるほど美しい庭園で、しばらくその場から動きたくなくなりますよ。

有清園(ゆうせいえん)は、池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)であるため、のんびり歩きながら楽しめます。

美しい苔(こけ)や立派な木々に囲まれ、滝の音や川の流れが心地よく、春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、どの季節でも楽しむことができる庭園です。

三千院から徒歩約1分の実光院(じっこういん)には、池を中心とした池泉観賞式(ちせんかんしょうしき)の契心園(けいしんえん)と、歩いて楽しめる池泉廻遊式(ちせんかいゆうしき)の旧理覚院庭園(りかくいんていえん)があります。約120種類の草花が庭園をいろどり、多くの参拝者を楽しませてくれる庭園です。

実光院から徒歩約1分の宝泉院(ほうせんいん)も、庭園の名所として知られています。宝泉院の客殿(きゃくでん)という建物からは、樹齢700年の五葉松(ごようまつ)を含む庭園を眺められます。

建物の柱と柱の空間を額縁(がくぶち)に見立てて、庭園をまるで絵のようにして見ると、美しい庭園がより引き立つでしょう。

ここの庭園を盤桓園(ばんかんえん)と言います。その意味は「立ち去りがたいという意味」なんです。時間を忘れて本当にずっといてしまいたくなります。この3カ所コースの目安は、約2時間です。

《コース概要》

京都バス「大原」バス停→(徒歩約10分)→三千院→(徒歩約1分)→実光院→(徒歩約1分)→宝泉院

 

人気ランキング!おすすめ庭園を紹介

天龍寺の曹源池庭園
天龍寺の曹源池庭園

当サイトの運営元である「京都ユニークイベントことぶら」は、これまで数々の京都ガイドツアーを開催してきました。そんな中、参加者さんたちから好評だった庭園をランキング形式で紹介します。

 

1位:天龍寺

京都市右京区の天龍寺(てんりゅうじ)には、曹源池庭園(そうげんちていえん)という見事な庭園があります。

夢窓疎石(むそうそせき)が作った庭園で、名勝庭園(めいしょうていえん)の中でも優れた特別名勝(とくべつめいしょう)に指定されています。

中央にある大きな曹源池(そうげんち)をめぐる池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)で、背後の嵐山(あらしやま)を借景(しゃっけい)とした、雄大(ゆうだい)な庭園です。

お堂の中から眺めることもできますので、ぜひ特別名勝の庭園でゆったりとした時間を過ごしてください。

【外部リンク】世界遺産|京都 嵯峨嵐山 臨済宗大本山 天龍寺 公式ホームページ

 

2位:圓徳院

京都市東山区の圓徳院(えんとくいん)には、枯山水庭園の南庭と、一面パノラマの北庭があります。どちらも素晴らしいのですが、特に北庭がおすすめです。

北庭は伏見城から移してきた庭園で、その時の状態とほとんど変わりません。賢庭(けんてい)という作庭家(さくていか)が作り、歴代の作庭家の中でも名作庭家といわれている「小堀遠州(こぼりえんしゅう)」が手を加えている名勝庭園(めいしょうていえん)です。

北庭は北書院(きたしょいん)という建物から眺めるのですが、北書院に入ってきた瞬間に、余りの素晴らしさにため息が漏れます。

【外部リンク】京都・東山 圓徳院

 

3位:渉成園

京都市下京区の東本願寺(ひがしほんがんじ)から徒歩3分ほどのところに、東本願寺に属する「渉成園(しょうせいえん)」があります。

1641年(江戸時代)に三代将軍の徳川家光(とくがわいえみつ)から土地を与えられた渉成園(しょうせいえん)は、枳殻(からたち)という木が植えられていたことから「枳殻邸(きこくてい)」とも呼ばれています。

そして、池の周りを歩いて鑑賞できる「池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)」を持っており、武将や文人として知られる石川丈山(いしかわじょうざん)が工夫を凝らした見事な庭園です。

渉成園(しょうせいえん)の庭園は、季節ごとにさまざまな花が咲き誇り、都会の中で時間が止まっているようなゆったりとした自然風景を楽しめます。

また、京都タワーが池の水に写り込む独特な雰囲気の庭園ですので、ぜひ訪れていただきたい名所です。

【外部リンク】渉成園|真宗大谷派(東本願寺)

 

池泉式庭園がおすすめの寺社

青蓮院の池泉式庭園
青蓮院の池泉式庭園

池泉式庭園に焦点をあて、おすすめの寺社を紹介します。本当は紹介したいところがもっとたくさんあるのですが、特におすすめのところだけ以下ピックアップいたします。

  • 散策が楽しい金閣寺
  • 梅の時期は特に美しい城南宮
  • 門跡寺院の風格あふれる青蓮院
  • 時間を忘れさせてくれる智積院
  • 広大な池が特徴的な大覚寺

 

散策が楽しい金閣寺

京都市北区にある金閣寺(きんかくじ)は、池泉式回遊式庭園のおすすめスポットです。舎利殿(しゃりでん)という建物「金閣(きんかく)」が特に有名であるため、通称で金閣寺と呼ばれていますが、正式には鹿苑寺(ろくおんじ)というお寺です。

金閣寺の境内(けいだい)4万坪のうち、2万8千坪が鹿苑寺庭園(ろくおんじていえん)として、特別名勝(めいしょう)に指定されています。

鹿苑寺庭園(ろくおんじていえん)の中心には約2千坪の鏡湖池(きょうこち)という池があり、葦原島(あしはらじま)など複数の島が配置されています。

その鏡湖池の端(はし)に金閣が建てられており、まばゆい金色の光が池にも映ってため息が出るほど美しい姿をしています。

金閣は一層目が法水院(ほっすいいん)、二層目が潮音洞(ちょうおんどう)、三層目が究竟頂(くっきょうちょう)と呼ばれ、3層異なる雰囲気を見事に調和させた室町時代の代表的な建物です。

【外部リンク】臨済宗相国寺派 金閣寺

 

梅の時期は特に美しい城南宮

京都市伏見区にある城南宮(じょうなんぐう)の神苑(しんえん)は、昭和の天才作庭家(さくていか)といわれた中根金作(なかねきんさく)氏によりつくられました。

源氏物語(げんじものがたり)に描かれた80種類あまりの草や木が植えられていることから、「源氏物語花の庭(げんじものがたりはなのにわ)」と呼ばれています。

源氏物語花の庭は、「春の山」「平安の庭」「室町の庭」「桃山の庭」「城南離宮の庭」の5エリアで構成され、それぞれ異なる雰囲気となっています。

神苑(しんえん)の「春の山」では、およそ150本の「しだれ梅」が咲き誇ります。咲き始めから6分咲きを指す「探梅(たんばい)」、見ごろを指す「観梅(かんばい) 」、散り始めを指す「惜梅(せきばい) 」と、移りゆく梅をじっくり味わってください。

例年の2月下旬から3月上旬が見ごろで、特に満開と時期はこの世とは思えないほどの美しさとなり、多くの人が見物に訪れます。

また、城南宮は50種類・約300本の椿(つばき)も有名です。種類により12月~3月にかけて美しく花を咲かせます。

【外部リンク】城南宮 | 京都の南、方除け ・厄除けの祈祷、車のお祓いの神社

 

門跡寺院の風格あふれる青蓮院

京都市東山区の青蓮院(しょうれんいん)には、龍心池(りゅうしんち)という池を中心とした庭園があり、相阿弥(そうあみ)が作ったと伝えられている池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)です。

相阿弥は室町時代に活躍した絵師であり鑑定家であり連歌師です。そして、庭園を作ったことでも知られている人です。

背後の山を庭園の景色に取り込む借景(しゃっけい)の技法を使っており、粟田山(あわたやま)を借景としています。

また、江戸時代の小堀遠州(こぼりえんしゅう)が作ったと言われる「霧島の庭(きりしまのにわ)」が隣接しており、毎年GW頃に霧島つつじが咲き誇ります。

庭園をひと周りして小御所(こごしょ)という建物近くの渡り廊下に行くと、豊臣秀吉が寄付した「一文字手水鉢(いちもんじちょうずばち)」があり、3月~4月頃に咲く梅が、水面に美しく映ります。

季節ごとに違った表情が見れる庭園ですので、何度訪れても楽しめますよ。

【外部リンク】天台宗 青蓮院門跡

 

時間を忘れさせてくれる智積院

京都市東山区の智積院(ちしゃくいん)の庭園も見事で、大書院(おおしょいん)という建物の東側に、名勝庭園(めいしょうていえん)があります。

この庭園は前身である祥雲禅寺(しょううんぜんじ)の時代に原形がつくられました。智積院になってからは運敞(うんしょう)というお坊さんが修復し、東山エリアで特に素晴らしい庭園と言われるようになりました。

土地の高低を利用して山や池をつくり、大きな石を配置するなど、変化に富んだ庭園となっています。どのシーズンでも楽しめますが、特にツツジやサツキの花が見ごろの4月中旬から6月中旬がおすすめです。

【外部リンク】真言宗智山派 総本山智積院

 

広大な池が特徴的な大覚寺

京都市右京区にある大覚寺(だいかくじ)は、大沢の池(おおさわのいけ)が有名です。大沢の池は、一周約1キロメートルもあり、林や池がある人工の庭園として日本最古を誇っています。唐(とう)の洞庭湖(どうていこ)という湖を参考に造られたことから、庭湖とも呼ばれています。

のんびり歩いて眺めていると、場所によってさまざまな表情を見せてくれますし、季節ごとに違った表情を味わうこともできます。また、本堂(ほんどう)から眺める大沢の池も素晴らしく、大覚寺の象徴の1つとなっています。

「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)〈カンタンにいうと秋の満月の時〉」に、龍頭鷁首舟(りゅうとうげきしゅせん)という船に乗り、月見を楽しむ行事があるなど、庭園を余すところなく楽しめます。

【外部リンク】大覚寺

 

枯山水庭園が素晴らしいお寺

龍安寺の枯山水庭園
龍安寺の枯山水庭園

京都は枯山水庭園を持っているお寺も多く、各寺院の庭園では、時間を忘れてボーっと眺めている参拝者をよく目にします。ここではおすすめの枯山水庭園として以下を紹介します。

  • 東福寺と塔頭寺院
  • 大徳寺の塔頭寺院
  • 枯山水庭園で超有名な龍安寺

 

東福寺と塔頭寺院

市松模様のお庭
市松模様のお庭

京都市東山区にある東福寺(とうふくじ)には、素晴らしい庭園があります。方丈(ほうじょう)という建物にある庭園は、建物を中心として東西南北の4つの庭からなり、「八相の庭(はっそうのにわ)」と呼ばれています。

重森三玲(しげもりみれい)という作庭家(さくていか)が1939年(昭和時代)に完成させたお庭で、苔と石を交互に四角く配置した市松模様(いちまつもよう)のお庭が特に有名です。

東福寺に属する小型のお寺、つまり塔頭(たっちゅう)は25のお寺があります。その中でぜひ参拝していただきたいのが「霊雲院(れいうんいん)」「芬陀院(ふんだいん)」「光明院(こうみょういん)」です。

この3つのお寺はいずれも庭園が見事です。鎌倉時代から室町時代の面影を残す塔頭寺院について、庭園に焦点をあてて解説いたします。

【外部リンク】臨済宗大本山 東福寺 -日本最古の最大級の伽藍

 

九山八海の庭が有名な霊雲院

霊雲院(れいうんいん)は九山八海(くせんはっかい)の庭が有名です。江戸時代中期につくられたお庭で、長らく荒れていたものを、1970年(昭和時代)に重森三玲(しげもりみれい)が復元しました。

九山八海(くせんはっかい)というのは、須弥山(しゅみせん)という山を中心に、8つの山脈と8つの海がとりまく仏教の世界観です。

遺愛石(いあいせき)という石を須弥山(しゅみせん)に見立てて、白い砂の波模様(なみもよう)が山や海を表すお庭です。

【外部リンク】臨済宗東福寺派塔頭 霊雲院

 

鶴亀の庭で知られる芬陀院

芬陀院(ふんだいん)は、水墨画(すいぼくが)で有名な雪舟(せっしゅう)がつくったと伝わる「鶴亀の庭(つるかめのにわ)」があり、雪舟寺とも呼ばれています。ただし、本当に雪舟がつくったことを証明する資料はありません。

京都最古の枯山水庭園(かれさんすいていえん)の1つと言われているお庭ですが、火災などによって一部が荒れてしまい、1939年(昭和時代)に重森三玲が復元しました。

 

重森三玲の庭が素晴らしい光明院

光明院の枯山水庭園
光明院の枯山水庭園

光明院(こうみょういん)には、美しい「波心の庭(はしんのにわ)」があります。1939年(昭和時代)に重森三玲がつくったお庭で、狭いスペースなのに広く見える、ダイナミックなつくりとなっています。

苔の美しさも特徴で、別名「苔の虹寺(こけのにじでら)」とも呼ばれており、隠れファンの多いお寺となっています。

 

大徳寺の塔頭寺院

大徳寺には20を超える多くの塔頭があります。ここでは数ある塔頭の中から、枯山水庭園が美しく、いつでも拝観できる塔頭を紹介します。

【関連記事】大徳寺は多くの塔頭寺院が見応えあり【京都の寺社100選】(北区)

 

枯山水庭園が素晴らしい大仙院

大仙院の枯山水庭園(撮影禁止のためポストカードより)
大仙院の枯山水庭園(撮影禁止のためポストカードより)

大仙院(だいせんいん)は、大根のぬか漬けで「沢庵漬け(たくあんづけ)」の考案者といわれている「沢庵和尚(たくあんおしょう)」が住職を勤めたことで知られています。

大仙院書院庭園(だいせんいんしょいんていえん)と大仙院庭園(だいせんいんていえん)は、いずれも見ごたえのある枯山水庭園(かれさんすいていえん)で、険しい山から大きな海までを岩や砂で表現しています。

そんな大仙院は、剣の達人として知られる宮本武蔵が沢庵和尚を訪ねてきたり、豊臣秀吉、千利休など名だたる人物が参拝したことのあるお寺です。

【外部リンク】意気の道場…紫野大徳寺「大仙院」

 

独坐庭が美しい瑞峯院

瑞峯院の枯山水庭園
瑞峯院の枯山水庭園

瑞峯院(ずいほういん)は、キリスト教を信仰した大友宗麟(おおともそうりん)という大名を弔(とむら)うお寺です。

見どころは重森三玲(しげもりみれい)がつくった独坐庭(どくざてい)で、不老不死の仙人が住むと伝わる「蓬莱山(ほうらいさん)」から水が流れ、大きな海になる姿を表現しています。

砂で波のうねりを表現した見事な庭園です。

 

複数の枯山水庭園がある龍源院

龍源院の枯山水庭園
龍源院の枯山水庭園

龍源院(りょうげんいん)は、大徳寺中で最も古い塔頭です。こちらも庭園が見どころで、複数の枯山水庭園があります。

ものすごく狭いスペースにつくられた東滴壺(とうてきこ)や滹沱底(こだてい)、苔(こけ)で大きな海を表現した龍吟庭(りょうぎんてい)、ダイナミックな一枝坦(いっしだん)など、さまざまな庭園を楽しめます。

また、豊臣秀吉と徳川家康が対局したといわれる碁盤(ごばん)など、見どころの多いお寺です。

 

枯山水庭園で超有名な龍安寺

京都市右京区の龍安寺(りょうあんじ)には、世界的な有名な石庭があります。この石庭は白い砂だけを敷き詰め、15個の石が配置されています。

どこから見ても14個までしか同時に見えないようにつくられており、シンプルさの中に神秘性が感じられる庭園となっています。

この石庭の解釈は「雲の海から頭を出す山をあらわしている」「海に浮かぶ島々をあらわしている」「虎の子渡し(とらのこわたし)という中国のお話しをテーマにしている」など、見る人によってさまざまなものがあります。

また、作者もいろいろな説があるものの、確証がある作者は不明です。そんな龍安寺の石庭は特別名勝(めいしょう)に指定されています。

【外部リンク】大雲山 龍安寺|Ryoanji

 

浄土式庭園が素晴らしいお寺

平等院の浄土式庭園
平等院の浄土式庭園

浄土式庭園は池泉式庭園や枯山水庭園ほど数が多くありませんが、その分ほかの寺社とは違った雰囲気を楽しめます。ここでは浄土式庭園のおすすめとして以下を紹介します。

  • 極楽浄土を思わせる平等院
  • 浄土を思わせる浄瑠璃寺
  • 蓮の寺として知られる法金剛院

 

極楽浄土を思わせる平等院

京都府宇治市にある平等院(びょうどういん)には、平安時代を代表する浄土式(じょうどしき)の庭園があります。

極楽浄土(ごくらくじょうど)をモチーフとした庭園であり、「ここは極楽浄土なんだ」と思って拝観すると、非日常を味わえるでしょう。

平安時代に完成した最古の浄土庭園で、おだやかな海岸のようすを小石で表現した州浜(すはま)が特徴的です。

また、池の中央にある島に建てられている有名な鳳凰堂(ほうおうどう)は浮かんでいるように見えるため、現実とは別世界にいるような感覚を覚えます。

【外部リンク】世界遺産 平等院

 

浄土を思わせる浄瑠璃寺

京都府木津川市(きづがわし)の浄瑠璃寺(じょうるりじ)は、三重塔(さんじゅうのとう)に安置されている「薬師如来(やくしにょらい)」の世界を思わせるお寺です。

阿弥陀如来(あみだにょらい)という仏さまが来世である「極楽浄土(ごくらくじょうど)」のトップだとすれば、薬師如来は過去世である「浄瑠璃浄土(じょうるりじょうど)」のトップです。

浄瑠璃寺の庭園は大きな池を中心とし、薬師如来と阿弥陀如来がそれぞれ池の反対側に安置されています。過去世から来世まで、浄土の世界をたっぷりと味わえるお寺です。

 

蓮の寺として知られる法金剛院

京都市右京区にある法金剛院(ほうこんごういん)には、平安時代につくられた浄土式庭園があり、ハスの名所として「関西花の寺」第13番霊場となっています。

また、境内の「青女の滝(せいじょのたき)」は、日本で最古の人工の滝としても知られています。見ごたえある仏像も安置されている法金剛院は、京都の穴場寺院として人気です。

【外部リンク】法金剛院 | 関西花の寺 第一三番霊場

 

まとめ

京都の寺社は、素晴らしい庭園を持っているところが多く、池泉式、枯山水、浄土式など、寺院ごとに様式が異なります。ダイナミックな庭園やしっとりと落ち着く庭園、とにかく美しい庭園など、個性もさまざまです。

今回は数ある庭園のうちほんの一部を紹介させていただきましたが、ぜひほかも巡っていただき、お好みの庭園を探してみてください。

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